両国門天ホールからのお知らせ

音楽というのは「閉じていく」宿命を持っているのだと思います。

美術や建築の世界では、空間というもの対して自由さを感じます。既存の価値を破ったり、古いものをリノベーションして新しい価値を加えることで、どんどん外に「開いていく」ことができる。 でも、音楽や演劇は時に「閉じていく」作業が必要なのです。たとえば、防音。真っ暗な空間も時には必要です。 ピアノのためには湿気や日光も大敵です。守るべきものや制約があるその不自由さ。 でも、「閉じていくこと」で「開いていく」ことができないか、というのが両国門天の空間を考える原点でした。

両国門天は、真っ暗な空間にすることもできますが、前も後ろも開くことができる作りになっています。前後に開くことで風が通ります。風が通ったら、面白いことになるではないか、と思っています。 使うアーティストやお客さんたちによって違う表情を見せる、 風通しのいい空間を目指したいと思います。

建築・設計/榊原尚建築計画研究所 榊原尚建さん
門前仲町から両国に場所を移した門天のスタートラインということで、小ささの中に広がりのある場所・これから育てていける場所をコンセプトに設計しました。 同じ材質の木材を壁と床に使ったり、同じモチーフの壁穴をランダムに配置することで、門前仲町の門天や支配人の黒崎さんに感じた、中心はあってもヒエラルキーのない等価な空間づくりを目指しています。 あえて床材にも最終加工をしていないのも、「これから」を見すえてのこと。
これからみんなで作り上げ、育てていける場所になればと思っています。

施行/(有)イクス 宮下健二さん、野口千尋さん
時間や予算が限られる中、特に苦労したのは壁や床に使われている木材の調達でしょうか。
これは、現場の足場板として使われるもので、広島の杉の無垢材を使用しています。通常の木材に比べて厚みがあるので、音楽の響きも吸収してくれると思います。 音楽のプロのこだわりと建築のプロのこだわりの間を橋渡ししてくれた榊原さんのおかげで、大変ではありましたが、とてもやさしい・面白い空間に仕上がったと思います。
様々に形を変えて造りあげて貰えるよう色々工夫をし、ベースは作りました。変化しながら愛され続けるようなホールになって欲しいです。

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